名台詞
時代小説が好きでいろいろな本を読んでいます。
江戸市中で起きる様々な事件を解決していく捕り物や剣の道を目指す武士を主人公にした剣術ものなど面白い作品が数多くあります。
中でも特に、職人や商人あるいはその日暮らしの下層の人々といった市井の人々を主人公とした作品、庶民の人情を描いたものが好みです。
主人公のやさしさにジーンとくる、主人公の悔しさにグッとくるその感覚が好きです。
そんな中、数々読んだ時代小説から心に“心に響く名台詞”です。
― 真に強いもの:
闘いの時、相手に目を向けたまま睨みあう。体力で圧倒して敵を疲れさせる者もいれば、相手の攻めるに任せてひたすら躱し続けるものもいる。剣の道を語るといった場面での言葉です。
「真に強いものは圧勝しない。大勝、圧勝するものは大敗、惨敗することもある。真に強いものは常に勝つというより、常に負けない。」
ビジネスの世界で毎日攻め続け、攻め疲れて動きが鈍る。その一瞬の隙を衝かれて惨敗する。何度となくこのような経験を重ね、つらい日々を送ってきたものだなあと考えさせられる言葉です。
土台をしっかりと固め頭を使って考え、“常に負けない”こうありたいものです。
― 木鶏:
剣術道場主の息子が、仕えている家老の嫡男の剣の相手に選ばれた。だが、名誉あるお役目なので選ばれたのは親の威光と噂される。
人とは厄介なものであるとしみじみ感じた時、父の綽名(あだな)を聞かされその本当の意味を知る。といった場面での言葉です。
「木で彫った軍鶏(しゃも)、木彫りの軍鶏は何があろうとまったく動かない、闘鶏で最強の軍鶏だ。本当に強い人は大抵のことでは動じない。」
噂されるということは、それがたとえ一部の人間であろうと、世間がどのように見ているかを知ることになる。
憂鬱になることもあるが、毅然と正しくありたいと教えてくれた言葉です。こうありたいものです。
また以下は、船の中で旅人が聞く市井の人々の会話から、“なるほど”と思った台詞です。
― 命の安売り:
「食う事を軽く見る奴を信じちゃならねえ。寝るのと食うのは達者に生きる源だ。食う事にゼニを惜しむやつは、てめえの命を安売りするやつだと思え。」
どちらが得か?などとばかり考えていた自分が恥ずかしくなります。
“命を大切に”こうありたいものです。
― 本質を見抜く目:
「何事も見掛けの派手さはこけ落とし、芯がしっかりしているものは必ず相応の味わいを見せてくれる。世間では年齢や経験が重要な意味を持つことが多いが、時と場合による。
何より大切なことは、本質を見抜く目を持つことだ、本質を見抜く目があるかどうかということだ」
話題になっているとか人気があるとかに紛らわされずに、何事もゆっくりじっくり味わい自分には何が必要か?何が本質かを見抜く。こうありたいものです。
― しきたり:
「しきたりとは、先人があらゆる知恵を絞って完成させた歴史であり伝統なのである。しきたりはいわば柱を支える確固たる土台。むやみにほじくり返しては柱を倒すことにもなりかねない。」
常に新しいことばかり気になっていたことが恥ずかしくなります。歴史と伝統をしっかり学びしっかりとした柱を建てる、こうありたいものです。
“今はこれが人気”、”こんなにお得“など、効率や損得ばかりがもてはやされる社会にやや疲れ気味になってきています。
人気や話題に振り回されることなく、自分をしっかり顧みているだろうか?
自分には、このような台詞を語ることができるだろうか?何とも身につまされるような気がします。
人を思いやるやさしい心、悔しさをグッとかみしめる心に感動しながら名台詞です。
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